レクチャーシリーズ

2017年度:第2回レクチャーシリーズ:長坂 常氏

2017年10月5日

2017年度
第2回目のレクチャーシリーズ

2017年10月5日 17:00〜18:30

建築家 長坂 常氏
講演テーマ『家具と建築の間』


千葉工業大学建築都市環境学科では、2013 年より始まったレクチャーシリーズを今年度も開催いたします。 様々な分野で個性的な活動をしている様々な領域の講師をお招きし、今後の建築のあり方、都市のあり方、 そして環境のあり方を検証します。

会場:千葉工業大学 津田沼キャンパス
(JR総武線津田沼駅 南口駅前)


リノベーションを中心に設計活動を行う長坂常氏。家具やインテリアなどの実績をコツコツと積み重ねてきていたが、最近は一連のブルーボトルコーヒーの店舗設計をまかされるなど、グローバルな活躍が目立つようになってきている。
「家具と建築の間」と題されたこのレクチャーにおいては、長坂氏は、家具の設計に一つ一つ取り組む時、その材料や素材が生み出す状態を読み解きながら、そこに「デザイン」という要素を付け加えないように丁寧に組み上げるプロセスを説明してくれた。
その長坂氏の独特の繊細な感受性が空間に強く現れるようになったのは、「sayama flat」での経験からだという。マンションの一戸の内装をリノベーションをする際、あまりにもローコストであったために事前に設計することを諦めてしまった。そして、あくまでも現場で一つ一つの部材を丁寧に解体しつつその都度その状態を確認しながら、一切パーツを追加することをせず、どこで止めるか…、というプロセスを経て完成に至った。その完成状態はあたかも工事解体現場の途中のようでもあり、残されたパーツがアートのオブジェのように、広々とした空間に漂っているような自由な空間のようにも見える。
この作品以降、長坂氏の作品には、驚くほどの「素」な強さを感じるようになった。それはもしかしたら「強さ」ではなく、「弱さ」かもしれない。一見、どこをデザインしたかわからないような、「素」のままの素材がポツポツと置かれたような空間。シンプルさが「強く」なりすぎないよう、曖昧な恣意的操作はされているが、総体としてはおどろくほどナチュラルな空気感が漂う。ただ、この「ナチュラル」という言葉が喚起する自然(しぜん)とも違う。どちらかといえば、仏教でいくところの自然(じねん)の方が近いかもしれない。インダストリアルな素材も等価なものとして隔たりなく配置されつつ、丁寧に寸法を見極め、素材が必要以上にデザインされないように配慮されている。こういった独自の感受性が、日本よりも先に海外のたちに通じてグローバルな活躍につながっているということが大変興味深い。(田島則行)