レクチャーシリーズ

2017年度:第4回レクチャーシリーズ:東利恵氏

2017年12月1日

2017年度
第4回目のレクチャーシリーズ

2017年12月4日 17:00〜18:30

建築家 東 利恵氏
講演テーマ『風景をつくる建築』


千葉工業大学建築都市環境学科では、2013 年より始まったレクチャーシリーズを今年度も開催いたします。 様々な分野で個性的な活動をしている様々な領域の講師をお招きし、今後の建築のあり方、都市のあり方、 そして環境のあり方を検証します。

会場:千葉工業大学 津田沼キャンパス
(JR総武線津田沼駅 南口駅前)


このところしばらく世界中でホテルラッシュともいえる状況が続いており、快適な宿泊施設への要求がますます高まっている。宿泊施設の設計は、かつては村野藤吾、吉村順三、堀口捨巳といった空間づくりの名人が手掛ける領域であったが、近年日本ではホテルなどを建築家が手掛けることはまれである。そうした中、東利恵さんは、一連の星のやの宿泊施設を手掛けていることで知られ、それらがいずれも大きな反響を呼んでいることから、宿泊施設の新しい可能性を切り開いている貴重な存在である断言して構わない。
東さんの父、東孝光氏は千葉工業大学の教授であったという縁がある。東孝光さんといえば、戦後住宅の金字塔「塔の家」がすぐに思い浮かぶが、この家で育ち今もなお暮らす東利恵さんには、「塔の家」での経験が、ご自身が設計される建物にどう影響を与えてきたか、そうしたお話も期待された。
東さんは、軽井沢、富士、バリ、丸の内と、各地で設計されてきた宿泊施設について、丁寧に解説をされた。宿泊者がいかに心地よく時間を過ごすことができるかという課題に心を砕いてきた様子がよく伺われた。一方で、こうした設計は、普通思われがちなセンスの良いデザインをすればよいという底の浅いものではなく、クライアントと議論を重ね、土地の様子を深く読み取り、現場でも最新の注意をして物を決めることによって成立している。それは、言ってしまえば、いかなる優れた建築の実現においても肝要なことであり、東さんのお話は、建築家としての基本的な姿勢を改めて確認するものであった。
結局、講演の中では「塔の家」の話はされなかが、東さんの人が過ごす空間への細かい気配りは、おそらく「塔の家」での日々により培われたのだろうなということが、想像された。(今村創平)