藤井賢志研究室


藤井 賢志教授

建築物の耐震性能評価、建築振動学

近い将来に日本で発生する可能性の高い巨大地震に対して、安全な建築物を建設するには、考えられる大きさの地震に対して、建築物がどのくらいゆれてどのくらいのダメージを受けるのかを予め評価する必要があります。藤井研究室では、建築物の模型による振動実験や、地震に対する建築物の応答(ゆれ)のシミュレーション解析を通じて、地震動の特性から建築物の応答・ダメージを評価するための手法の構築を目指しています。

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建築物の地震被害調査

これまで、数多くの大きな地震で生じた被害を通して、我々は建築物の耐震設計に関して多くのことを学んできました。日本で地震工学のはじまりのきっかけとなった濃尾地震から1世紀以上がたち、その頃から比べて建築物の耐震設計は飛躍的に進歩しました。しかし、その現在でも、大きな地震が生じたときに、どのような建築物が被害を受け、あるいは被害を受けなかったのかを調べ、記録に残すことは非常に重要です。最近では、2016年4月に発生した熊本地震において、被害調査を行いました。

建築物の耐震性能評価

本研究室では、建築物が地震に対して、どのような応答特性を持っているのかを合理的に評価できる理論的な方法の研究を行っています。こちらに示しているのは、古い基準で建てられた集合住宅を対象に、その地震応答を評価した例の一部です。これによって、対象の建築物がどのような特性の地震動に対して、どのくらいのダメージをうける可能性があるのか、耐震上の弱点がどこなのかを知ることができます。

バルサ材による建築物模型の振動倒壊実験

本研究室では、パソコンによる建築物の地震応答解析を中心に研究を進めています。しかし、初めての学生さんにとって、建築物の地震応答はイメージしやすいものではありません。そこで、バルサ材をつかって高層建築物の構造模型を製作し、これに重り(全体で重さは7~8kg)をつけて振動台に固定し、地震動でゆらして倒壊させる実験を行っています。写真は、実験のために構造模型に重りを取り付けている様子です。

地震応答を制御した合理的な耐震構造システムの開発

 本研究室では、鋼材ならびにオイルダンパー等の制振部材を用いて、地震応答を望ましい形へ制御した合理的な耐震構造システムの開発を行っています。写真は、実際の制振構造の応答を再現するための模型実験の様子です。この実験では、ラジコン用のオイルダンパーを使って、実建物での制振部材の挙動を再現を試みました。今後、このオイルダンパーを用いて階数を増やした建築構造模型で、合理的な耐震構造システムの実験を行います。